Viceroy's House 国が分割されるとき

今日は週末に夫とシネマで観た映画の話です。

18日にオーストラリアで公開されたばかりのイギリス映画 VICEROY'S HOUSE

イギリスでは3月に公開、日本公開は未定ということでタイトルの日本名がありません。

 

 

予告から、これは絶対に観よう!と二人で決めていたのです。(私たち歴史オタクですからね)

 Viceroyというのはインド総督、映画ではインド独立前の最後のイギリス領インド総督マウントバットン卿が赴任したところから始まるのです。

この映画は1947年のインド独立から、70年という節目に合わせて公開されたのですね。

ガンジー、ネルー、ジンナー、重要な人物が全て出てきます。

 

誰もインドの分割をとめられなかった。パキスタンとインドという2つの国として独立。

その結果、1400万人もの人が難民としてさまよい、100万人もの人が大混乱の中で亡くなったのです。

 

大きな流れのなかで、翻弄されるたくさんの命。

ひとりひとりの人間ってなんてちっぽけな存在なんだと、思い知らされるのです。

それでも、そのなかで人々は愛し助け合い命を繋いで生きている。

 

終わった後、うちの夫が言っていました。

 「こういう映画をみると、いつも思うよ。自分がいま生きてることが奇跡だって。与えられている毎日を、大切に生きなくちゃって。」 ⇐ たまにはまともなこと言う(笑)

 

インド総督の奥さまが、とても素敵な役割を果たしています。

「私たちはインドの手に自由を戻すために来たのよ。引き裂くためじゃないわ。」

映画の予告編最後の彼女の言葉がグッときます。

それぞれの立場で必死に生きている人達の姿が心を打ち、またまた号泣してしまいました。。。

 

 

 

監督はグリンダ・チャーダさん。有名なBend It Like Beckham(ベッカムに恋して)の監督です。

彼女のおばあさんも、この時の騒動で5人の子どものうち一番下の赤ちゃんを、3日間水も食料もない過酷な移動の中で失ったという悲しい経験をしています。

アフリカで生まれイギリスで育ち、イギリス人とインド人の両方のアイデンティティを持つグリンダさん、

ご自身のことをBritish Asianと呼び、だからこそ一歩下がって、さまざまな人の視点から歴史を見ることができるのだと言います。

インタビューでの最後の言葉、彼女がこの映画で伝えたかったメッセージなのでしょう。

 

"It's a timely reminder of what happens when politicians or leaders start using hate to devide us, because it can only lead to destruction and death."

政治家やリーダーが、私たちを分断するために憎しみを利用し始めた時、何が起きるのかということを思い出させてくれるものになると思うわ。なぜならそれは破壊と死を導くだけだからよ。

 

 

第2次世界大戦の終わり、日本の降伏がもう少し遅ければ、日本もアメリカとソ連の2か国で分割、または連合軍の4か国で分割という可能性があった、と聞いたことがあります。また、アメリカによる占領が決まった後も、内紛を防ぐため日本人を一つにまとめていた天皇制が維持されたという背景があり、戦後いち早く復興し経済大国として復活できた日本があるのですよね。

 

日本も一歩間違えたら、どうなっていたか分からない。決して他人事ではない、そんな風に私は感じています。

 

昨年のイギリスやアメリカの選挙などを見ても、意見の異なる人同士が分かれて争う方向へ向かっているような空気もあります。

 

グリンダさんのメッセージが多くの人に届きますように。私も祈りたい気持ちです。

 

 

 

 

最後にこちらのイギリスのテレビ番組 (オーストラリア版もあります)

"Who do you think you are"

 

毎回有名人のルーツを探るのですが、グリンダさんは今回の映画から遡ること10年以上前に出演しています。

 

改めて見ると、この時にケニアやパキスタンを訪ねてグリンダさんが知った多くの事実や家族の悲劇が、この映画を彼女に作らせたんだなぁと思います。

 

たくさんの想いが込められた映画です。

 

そこに悪人と善人がいるのではなく、それぞれの立場をしっかり描いた、

グリンダさんも言うように a balaced film バランスのとれた映画 だと思います。

 

日本での公開は分かりませんが、おそらくDVDなどで今後観ることはできると思いますので、興味のある方にはぜひおススメしたいです。

 

(余談ですが、グリンダさんの旦那さまは日系アメリカ人で、二人の間の女の子の名前は「クミコ」なんですよ。

ルーツを大切にされてるんですね。)